フランスが誇る銘醸地、ブルゴーニュの各村を象徴するワインをセレクトしました。気候条件や土壌、作り手により、その仕上がりは、同じピノ・ノワールを使用していますが、香りや味わいが大きく異なります。それぞれの個性溢れるワインぜひお愉しみください。

ジュヴレ・シャンベルタン・1級畑・クロ・デ・ディザール・2019・フェヴレ
ブルゴーニュワインを牽引するトップ生産家フェヴレ。その歴史は、1825年ブルゴーニュ地方の中心に位置するニュイ・サン・ジョルジュ村にメゾンを設立しスタートしました。当初は、主に農家からぶどうやワインを買い付け、自社で熟成・瓶詰めをして出荷をする生産者を意味するネゴシアン業からスタートし、その後徐々にドメーヌ業(自身でぶどう栽培から醸造、瓶詰、販売まで一貫して担う生産者)にも力を注ぎました。これまでシャンベルタン村やピュリニー・モンラッシェ村などのブルゴーニュの代表格産地の特級や1級畑をはじめ、モノポール(自社単独畑)など数々の畑を購入し、現在では、ブルゴーニュ地方最大級の約120haの自社畑を有し、生産量の約8割を自社畑から生み出すブルゴーニュ屈指のドメーヌです。

1級畑の「クロ・デ・ディザール」は、面積がとても少なく(約0.8㏊)、フェヴレのモノポール(単独所有畑)です。ブルゴーニュの中でも最も小さな区画で、ロマネ・コンティよりも小さな畑です。

ぶどうは手作業で収穫され、選別されます。ぶどうの状態を見極めながら、除梗または全房発酵の割合を決めていきます。ぶどうの皮から色、タンニン、香りをゆっくりと抽出し、約19日間発酵されます。自然で一定の湿度と温度に保たれたセラーで、フレンチオーク樽を用い、16ヶ月間熟成されます。( 新樽率は40～50%)

色は濃いルビー色。香りには、カシス、ラズベリー、ブラックチェリー等の熟したような印象に、木の香りや甘草の香りが組み合わされた複雑な印象です。口に含むと、バランスの取れた上質なタンニンは非常にボリューム感があり、なめらかな口当たり。余韻も非常に長く、上品でバランスの取れた仕上がりで、口の中できれいに持続するワインです。

シャンボール・ミュジニー・1級畑・レ・オー・ドワ・2018・ロベール・グロフィエ
ロベール・グロフィエは、モレ・サン・ドニ在所のドメーヌですが、所有畑の多くはシャンボール・ミュジニーという異質な存在です。もともと生産量を抑えることで、ぶどうの質を最大限に活かす方法をとるため、滅多にお目にかかれない作り手の1つとして知られています。

シャンボール・ミュジニーの中でも最も人気で、特級畑に匹敵する畑として知られる偉大な1級畑“レ・ザムルーズ”(Les Amoureuses)最大の所有者が作る果実味豊かで繊細なスタイルのワイン。1級畑のレ・オー・ドワは、レ・ザムルーズの北側に隣接する1級畑です。

色調は明るく澄んだルビー色。ラズベリー、カシス、ブルーペリー、レットカラント、チェリー等の赤系果実のアロマに赤い花のブーケ、シナモンのニュアンスが特徴的です。凝縮された果実味と収斂性のあるタンニンが力強いストラクシャーを作り上げ、偉大な風格を感じさせます。余韻も非常に長く、今後数年間寝かせることも出来るポテンシャルを秘めた素晴らしいワインです。

ヴォーヌ・ロマネ・1級畑・レ・スショ・2018・コンフュロン・コトティド
コンフュロン・コトティドは、ワインの銘醸地ブルゴーニュの中でもその中心、ヴォーヌ・ロマネ村にある生産者です。現在は5代目当主のジャッキー・コンフュロン氏の息子であるジャン・ピエール氏とイヴ氏の兄弟が手掛けています。
父から譲り受けた当時は2.5haだった畑は、現在では11haに拡大しています。醸造するワインは、コート・ド・ニュイに止まらずポマールやムルソー、特級畑に広がります。

この作り手は遅摘みをモットーとし、可能な限り熟したぶどうを収穫します。収穫したぶどうは、除梗せず全房のまま発酵、低温マセレーションを行い、ぶどうの皮からアロマをゆっくりと抽出。自生酵母による自然発酵を行い、低い新樽率で熟成期間は30ヶ月に達することも珍しくありません。

今回の1級畑“レ・スショ”はヴォーヌ・ロマネの中でも好立地の場所にあり、特級畑のエシェゾーと、ロマネ・サン・ヴィヴァンに挟まれた最高の区画です。年代によっては特級畑を上回るほどの味わいだと絶賛されるほどのポテンシャルを秘めています。

外観は深みのあるルビー色。濃縮したカシス、ラズベリー、チェリー、プラムなど黒赤系果実の豊かな香りにスミレやバラ、バニラ、シナモンのニュアンス。口に含むと、力強く厚みのタンニンと深みのある味わいが広がり、時間が経つ毎に様々な表情を感じさせます。遅摘みで完熟したぶどうの生命力が溢れるインパクトと、丁寧に作られたエレガントな印象を兼ね備えたワイン。熟成のポテンシャルは非常に高く、10年～20年後にも楽しみたい1本です。

コルトン・クロ・デュ・ロワ・特級畑・2017・ルイ・ジャド
ルイ・ジャド社は、1859年に由緒あるぶどう栽培家としての歴史を有するジャド家のルイ・アンリ・ドゥニ・ジャド氏によって創設されました。ジャド家の歴史は大変古く、そのルーツは中世のジャコバン修道会に辿ることができるほどの旧家です。

ぶどうの栽培は、1794年からジャド家が所有するシュヴァリエ・モンラッシェ・レ・ドゥモワゼルの畑から始まり、1826年にはボーヌ・ヴィーニュ・フランシュのプルミエ・クリュを取得。また、現在に至るまでブルゴーニュの銘醸格付け畑を次々と取得し、210ha以上の自社畑を有するこの地方を代表する大ドメーヌへと見事な成長を遂げました。

こちらは“王の畑”と名付けられ、コルトンの中でもさらに限定された区画のぶどうから作られ、もっともエレガントな味わいと言われます。コルトンの丘で真東に向いた緩やかな斜面は鉄分を含む赤い表土が特徴的です。ぶどうは1970年に植えられ、丁寧に手摘みで収穫されます。その後慎重に選別され、木製またはステンレス製のタンクで3～4週間発酵されます。約18か月の間ゆっくりと熟成されます。新樽率は約30%。

外観は透明感のある澄んだルビー色。ラズベリー、ブルーベリー、カシス、ブラックチェリー等のフレッシュ果実の香りに少しスモーキーさとスパイシーな印象が混ざりあい、まさにエレガントで芳醇な香り。タンニンは程よく、ワインの骨格はしっかりとありながらも
洗練され、上品な仕上がりのワインです。