シャルドネらしい上品で飲みごたえのある味わい

フレデリック・マニャン

フレデリック・マニャンはモレ・サン・ドニを拠点としているマニャン家の5代目として生まれ、1995年に自身の名を冠したネゴシアンを設立しました。フレデリックは毎日、畑に出て自分の足で条件に合った畑を探し出し、所有者と交渉する ということを10年以上繰り返している為、 全てのブルゴーニュの畑、区画、そ して所有者までを知り尽くしています。畑の所有者から委託を受け、栽培チームを 派遣し畑の管理を全て自分達で行う新しい形のネ ゴシアンです。しかしながら、ドメーヌと変わり ない仕事をし、常に高水準のワインを造っています。彼らの栽培責任者はルロワにビオディナミを導入した人 で 30年以上ルロワの栽培を指揮してきた人物です。「より繊細で果実のピュアな部分を重視したワインに進化し ていきたい。」と話します。

テロワールの表現にこだわりが強い為、100年前に決められた AOCには納得していないようで、その枠に収 まらない取組も始めました。 鉄の多い畑から造ったワインに「クール・ド・フェ―ル (鉄)」。石の多い畑を合わせたワインに「クール・ド・ロ ッシュ(石)」。そして、粘土の強い畑のワインには「ク ール・ダルジール(粘土)」と表記をします。
『村名を造る時、村の個性以上に各畑の土壌の個性が勝ることがある。それならばその事実を表記するべきだと思った』
『ヴィラージュ・ワインでも最低 40年の樹齢が条件。 土壌の個性を表現するにはある程度根を伸ばす必要もあるし、樹勢を落とし、樹中の水分量を減らさ なければならない』と語るほど、畑を選ぶ時にテロワールと樹齢を最も重視しています。

10年以上前から有機栽培を取り入れ、太陰有機法 に従った栽培や醸造を行ってきました。最近のフレデリ ックはより自然で人為的介入を少なくする方向に向かっています。「DRCよりルロワが好きだ。1点の汚れもない完璧に整理整頓されたワインよりも、欠点があっても伸びやかで定規で測れないワインが好き」とコメントしています。

彼のワインで特筆すべきはジャー(アンフォラ)での熟成を開始したことです。スペイン製の薄い素焼きの甕(かめ)での熟成により、水分が少し蒸発し、味わいが若干凝縮します。内側を蜜蝋で焼き固めていないものを使用することで香りの成分や水に溶ける成分は何も無く、バリックのようにタンニンや香りをワインに与えないことが特徴です。ブドウそのものの個性を引き出してくれますが、現段階では単体では複雑味に欠けると判断し、バリック熟成のワインとのブレンドでバランスをとっています。