サンテミリオンのトップシャトー「アンジェリュス」がラランド・ド・ポムロルで手掛けるボルドーワイン
外観は深みがあり、少しオレンジがかった深いブラックルビー色。とても豊かで熟した赤黒系のベリーの香り。シナモン、バニラのニュアンスにチョコレートやコーヒーの香りも重なります。口当たりは滑らかさもあり、重厚な印象。落ち着き始めたタンニンと上品な酸味が見事に調和していて、リッチでふくよか。ゆっくりと長い余韻へと続きます。
映えある実績とその確かな醸造技術に加え、ラランド・ド・ポムロルという、高品質なメルロ種の育成にぴったりな地から発信される、充実のボルドー赤ワインです。
シャトー・アンジェリュス
アンジェリュスのぶどう畑は、天然のアンフィテアトルム(円形劇場)状の丘陵の中央に位置し、取り囲むようにそびえ立つサン=テミリオンの3つの教会に守られています。すり鉢状の土地は音が反響しやすく、朝鐘、午鐘、晩鐘の音が遠くまで響き渡ったということです。アンジェリュス・ベルの音は村やぶどう畑で働く人々の一日のリズムを刻み、女も男も鐘の音とともに仕事の手を休め、祈りのひとときを捧げたものです。
フランスの偉大な印象派画家、ジャン=フランソワ・ミレは、その名も「ランジェリュス(邦題:晩鐘)」と題された傑作の中に、アンジェリュス・ベルの祈りの時を永遠に刻みました。この作品は現在、オルセー美術館に所蔵されています。
アンジェリュスの祈りの起源は15世紀にまで遡ります。1456年7月21日、神聖ローマ帝国がオスマン帝国軍との戦いで勝利を期したことを神に感謝する印として、ローマ法王カリストゥス3世がキリスト教世界のすべての鐘を毎日、朝、午、夕に鳴らすようにと命じました。この祈りには「アンジェリュス」という名が命名されました。
シャトー・アンジェリュスのラベルに描かれた鐘は、アンジェリュスという名の由来と、祈りのひとときを象徴しています。
20世紀初頭、モーリス・ド・ブアール・ド・ラフォレがこの土地を相続しました。土地拡張を続ける中、1920年になると、アンジェリュスと名付けられた3ヘクタールの囲い地を購入します。やがて1945年になると、この地は息子たちに受け継がれます。
ジャックとクリスティアン・ド・ブアール・ド・ラフォレは、父が祖先から引き継いできたワイン醸造の家業を受け継ぎます。1954年、シャトーはグラン・クリュの格付けを受けます。その後も継続された土地拡張の結果、1985年には20㏊を超える広さにまで成長します。この年、ジャックの息子ユベール・ド・ブアール・ド・ラフォレが事業を引き継ぎ、1987年に従兄弟のジャン・ベルナール・グルニエ(クリスティアンの娘婿)が、さらには2012年に娘ステファニー・ド・ブアール=リヴォアルが経営に加わりました。
アンジェリュスのゼネラルディレクターに就任したステファニー・ド・ブアール=リヴォアルは、ブアール・ド・ラフォレ家の8代目として、未来のアンジェリュスを代表していきます。女性トップとしては、1800年のカトリーヌ・ソフィー・ド・ブアール・ド・ラフォレ、そして1900年のウジェニー・シャトゥネに続き3人目となり、生まれ育ったシャトーを統率します。ステファニー・ド・ブアール=リヴォアルにとってアンジェリュスとは、彼女の血肉そのものであると言っても過言ではありません。この地で生きてきたステファニー・ド・ブアール=リヴォアルは、彼女に必要なブレない勇気や決意もこの地から培っています。アンジェリュスに愛情深く育まれ、精神的な支えを得るステファニー・ド・ブアール=リヴォアルは、自分自身をシャトーのエコシステムを形成する要素のひとつであると認識しています。
1996年に第1特別級Bに認定されて以降、実力はそれ以上と言われ続けていましたが、2012年に行われた格付け見直しの際には、第1特別級Aに昇格しました。しかし、2022年9月の更新時に格付けから撤退します。
それでもなお、サンテミリオンのトップに君臨し、世界中のボルドーファンを魅了し続けています。
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